横隔膜ヘルニア治療ガイドは、腹腔内圧の上昇で起こると考えられる『横隔膜ヘルニア』の症状や手術による治療法と胎児への対処法について調べています。
横隔膜ヘルニアは腹腔内の臓器が横隔膜にある孔(あな)から外部に脱出する状態のことをいいます。横隔膜ヘルニアは大きく分けて、外部からの影響で引き起こされた外傷性横隔膜ヘルニアと、非外傷性横隔膜ヘルニアがあります。非外傷横隔膜ヘルニアはさらに3種類に分類される事が多く、食道裂孔ヘルニア、胸膜裂孔ヘルニア、後胸骨裂孔ヘルニアとに分けられます。
横隔膜は呼吸運動、特に腹式呼吸に関係する筋肉の一種で、胸腔と腹腔の境を構成しています。
中央部には3つの穴が空いていて、そこを、大動脈、大静脈、食道が上下に走っています。
横隔膜が関与する生理現象に、「しゃっくり」がありますが、これは横隔膜の痙攣によって生じます。
外傷性の横隔膜ヘルニアは、横隔膜が主に交通事故などで損傷したり破裂した場合に起こる為、手術による治療が必要になります。
それに対して非外傷性横隔膜ヘルニアは、その分類により様々な治療法があります。
非外傷性横隔膜ヘルニアの1つである食道裂孔ヘルニアは、胸腔内に胃が脱出する状態を言います。
原因は腹腔内圧の上昇によって引き起こされると考えられており、50代以上の女性に多く見られます。
腹腔内圧の上昇の原因には、肥満や腹水貯留などの他に妊娠でも引き起こされます。
食道裂孔ヘルニアが起きると食道炎、胸焼け、みぞおち部分の痛み、食べ物を飲み込みにくいなどの症状がみられます。
検査には胸部X線、食道・胃透視やファイバースコープなどを使用します。
ボホダレク孔ヘルニアとも呼ばれる胸膜裂孔ヘルニアの症状は、小腸や結腸の脱出がみられます。
このヘルニアになってしまう患者さんは多くが子供の場合で、緊急手術が必要なケースもあります。
大腸や横行結腸の脱出が見られる後胸骨裂孔ヘルニアはモルガニー孔ヘルニアとも呼ばれています。
横隔膜が呼吸に関係している筋膜であるため、特に複式呼吸で横隔膜を緊張・弛緩させることが治療に影響を与えることがある点が横隔膜ヘルニアの難しい点です。
ヘルニアの場合には、安静にしておく事が必要な病気ですが、横隔膜ヘルニアの場合は腹式呼吸ではなくいわゆる「肩呼吸」という、薄い呼吸方法に変えることが必要な場合もあるのです。
近年、横隔膜ヘルニアが母体の羊水過多などをきっかけに、出生前の胎児超音波検査で診断される例が増えています。
出生直後に発症する重症例では、肺の発育不全(低形成)や肺血管(肺動脈)の高血圧(肺高血圧症)を供ない、重症度に応じて人工呼吸、高頻度換気(HFO)、膜型人工肺(ECMO)、サーファクタント療法、一酸化窒素(NO)の投与などの治療を行い、状態が安定した後に横隔膜の欠損孔を閉じる手術を行います。